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プログラミングスクールのステマに注意。アフィリエイトの罠とは?
そのブログ、ステマではないですか?
「プログラミングを勉強しようかな…」と思って、ちょっとネットで調べてみたとき。
さまざまなブログが「おすすめのプログラミングスクール」を記事にしているので、参考にしたくなりますよね。
しかし、そのブログを本当に信用していいのか、冷静に考える必要があります。というか、大半は読む必要がないかもしれません。
なぜなら、それらの記事は「企業がブロガーに報酬を約束して書かせているステマ記事」の可能性があるからです。
ステマってどういうこと?
「ステマ」とはステルス・マーケティングの略。
「読者に気づかれないように、特定の会社の宣伝を、報酬をもらって記事や動画にする」こと。
wikipediaで明確に解説されているので引用します。
消費者に広告と明記せずに隠して、非営利の好評価の口コミと装うこと
ヤラセやサクラなどもこの一例に分類される
日本では明確には違法になっていないグレーゾーンな行為のため、芸能人やインフルエンサーによるペニーオークション詐欺事件以降にステマの存在が認知された後も、まとめサイトなどウェブサイトやSNSにおけるステルスマーケティングが、後を絶たない
欧州連合やアメリカ合衆国では、広告表記のない宣伝行為は『消費者に対する不公正な欺瞞に当たる行為』として、明確に法律で禁止されている
例えばYouTubeでは、企業案件の絡む動画には最近「プロモーションを含みます」と出ることもありますね。しかし、ブログに至ってはそんな注意を出す義務もないため、ある種の無法地帯になっています。
プログラミングのスクールがブロガーに約束する報酬は、昨今の集客戦争ため高額となっています。
報酬が絡むため、ブロガーは当然そのプログラミングスクールを褒めたり、時折うまくマイナス点なども書きつつ、さりげなく推薦する。これでリアルな口コミ的に見える「ステマ記事」の完成です。
そのブログのリンクを踏んでから飛び先のプログラミングスクールのサイトで入学を申し込むと、ブログの作者には「約3万円」入るのが相場。学校によっては1万円だったり「特単(特別単価)」と言われる集客強化のタイミングだと報酬はもっと上がることも。
申し込みのレベルは「体験入学」だったり「カウンセリング面談」だったり「学校説明会」だったり、通常に「申込み」だったり。それぞれのランク、難易度によって報酬額が設定されています。
企業とブロガー、両者の利害は一致します。
企業としては…
報酬を約束すれば「ブロガーが自社サービスをさりげなく褒めてくれ、申込みまで誘導する記事を増やせる」(ステマ記事の量産)
ブロガーとしては…
「高額報酬のおいしい仕事である」(アフィリエイト案件)
成約を狙うブロガーは、高額報酬のプログラミングスクールほどブログ内で「さりげなく」推したり、クリックしやすい箇所に配置することでユーザーを誘導し、稼いでいきます。
アフィリエイトの悪用
「アフィリエイト」という言葉をご存知でしょうか。
なんとなく聞いたことある、怪しい感じもするけど詳しくは知らない、という方もいるかもしれません。
アフィリエイトは「特定の企業商品をブログで宣伝し、購入させ、企業からお金をもらう」という稼ぎ方です。ステマによく使われる手法。
これ自体は、本当に自分のおすすめ商品があれば記事にして稼げばいいものですが、果たしてそうそう「自分が本当におすすめできる商品」というのはないケースもあります。
その場合にブロガー(アフィリエイター)としては、下記の2種に分かれます。
①「おすすめできる商品がないから記事を書かない」
②「高額の案件があれば、おすすめじゃなくても偽って記事にする」
プログラミングスクールをおすすめする記事で目につくのは「5〜6種スクールをどれも結果的におすすめして、リンクを張りまくり、あわよくば全学校に資料請求やら体験入学して欲しい」というもの。
こういったアフィリエイト記事が横行しています。
高額の報酬のために、ブログの作者が対して知りもしない学校をさりげなくおすすめしているという記事は、星の数ほどある。1日体験をしたり、数日受講しただけで全てを知ったような書き方をしている場合も多いです。
ブログでは、記事の題材を「短期間でフリーランスになるには?」「プログラミングで年収1,000万を目指す方法」などの目につく記事にして、いわゆる情報に弱い人を囲っていく作戦をとっています。
盛った記事やお役立ち記事を読ませ油断させつつ、最後に自分に利益が入るプログラミングをスクールをあたかも本当にオススメのように見せ、リンクを踏ませるのが王道。
アフィリエイトのこうした悪用、行き過ぎた手法というのは特に取り締まる法律は日本にはありません。お金のために信用できるかどうかわからない商材を言葉巧みおすすめしまくるという手法が一般的になっています。
世の中にあるアフィリエイト記事の全てが悪とは言えませんが「金のためなら多少盛ってでも記事を書く」「本当はよく知らないプログラミングスクールを報酬のためだけにオススメする」というのはもはや一般的。そうでないブログを見つけるのが難しいほどです。
できれば今後YouTubeのように「この記事はプロモーションを含みます」「本記事はアフィリエイトリンクを含んでいます」など、冒頭に目立つように記載すると、読者は「あ、広告ね」「案件なのね」とわかり身構えることができるので良いかと思います。
しかし、現在のぬるま湯の状況を見る限り、また言い訳ひようと思えば出来てしまうグレーゾーンでもあるゆえ、わざわざそんな規制が出来る可能性は現在のところ低いでしょう。
そもそも案件を供給する学校に問題がある
ここまで「アフィリエイトの悪用によるステマ記事」という視点から書いてきましたが、そもそもこの問題がここまで広がってしまっている諸悪の根源は誰にあるのでしょう?
実は、ブロガーだけにあるわけではありません。
問題の根源は「申し込みがあったら、ブロガーにお金をあげる」というアフィリエイト及びステマ記事の拡張で競争をし合う、一部のプログラミングスクールにあります。
アフィリエイトというのは合法的な手段であり、法に触れることはありません。しかし、それはあくまで企業とブロガーにマナーがあって成り立つ話。
時折、芸能人のステマが大きく報道されるのはなぜでしょうか?
それは「読者や視聴者に気づかれないように”宣伝”をして、後ろで金銭のやりとりが発生している」からです。これは社会的に問題とされていますよね。
しかしそれが、プログラミングスクールのおすすめブログにおいては横行しています。
一般人ブロガーのステマブログというのはスクールに限らず、クレジットカードから美容系、日用雑貨から食品まで当たり前になっていますが、取り締まられることはありません。「本当におすすめしたくて書いているだけ」「ブログ書くのにギャラをもらって何が悪い」と言えてしまいますから。
しかし単にギャラをもらうだけでなく、そのために罪のないユーザーを巻き込んで「自分が稼ぐために、おすすめに見せかけてユーザーに商品を買わせている」となると、どうでしょうか。
アフィリエイト自体に馴染みがない人は、振り返ると「そういえばあの記事は怪しかったな…」「なんであんな熱心に商品を薦めるブロガーがいるのか意味がわかった」となるかもしれません。しかしそれはこのWEB時代において、必要な知識です。
今後は記事や動画に対して「アフィリエイトなのはわかったとして、この人は本当に良い商品だと思って薦めているのか?」「これ案件では?」という視点を持って、購入や申込みを検討できると良いでしょう。
金銭が絡めば結局褒めざる得ない
プログラミングスクール側が、自分の学校の卒業生でもない人に「記事にして」という発注を無差別に出している時点で、精度の高い記事を期待できるとは言い難いはず。そして後述しますが、記事には「審査」も入ります。
ここに問題があります。
スクール側の審査があり、なおかつブロガーは成果報酬の記事を書く時点で、その学校をボロクソに書くことはありません。批難をしすぎては誰もその学校に申込んではくれないからです。
しかし、褒めすぎても怪しくなるため、最近の手法としては「適度にデメリットやマイナス点を書くが、最終的には褒める」というものが多いです。
「いかに真実味を出すか」というところに力が注がれています。
記事には「審査」がある
ステマなアフィリエイト記事が増えていく大きな理由のひとつに「審査がある」という点があります。
つまり、報酬を払う側のプログラミングスクールから「OK」が出ないと、記事にアフィリエイトリンクを付けることができないんですね。建前上は「なんでもかんでもOKできないから一応審査をする」となりますが、この「審査」があることでブロガーには圧がかかる。
結果的に、アフィリエイト記事では、その学校を「なんだかんだ褒める記事」が増えることになります。プログラミングスクールから見て心地よくないものや、悪評がたちそうなものを書いては、せっかくの記事が無駄になるため、ブロガーたちは、たとえネガティブな話は知っていても書きません。
こうして、ステマ記事は量産されていくのです。
ステマ記事とは知らず、後ろで金銭のやりとりがあることも知らないユーザーほど記事を真剣に読み込むでしょう。
そして記事に誘導されるがままに何校も面談したり、何校も体験入学したり、資料請求することになります。
その回数分だけ、ブロガー(アフィリエイター)にはチャリンチャリンと1回数万円から数千円の高額報酬が支払われるのです。
企業案件の報酬額は?
ここで、大手アフィリエイトサービスに掲載されている「プログラミングスクールがブロガーに支払う報酬額」を見てみましょう。
下記の①〜⑩は全て異なるプログラミングスクールです。
①新規受講契約 30,000円 ②新規契約 20,000円 ③新規契約 30,000円 ④オンラインコース入会 17,000円 ⑤体験授業参加 15,000円 ⑥新規受講相談 9,000円 ⑦無料カウンセリング 10,000円 ⑧無料体験レッスン 5,000円 ⑨新規面談申込み 7,819円 ⑩新規オンライン相談会参加 1,500円 上記の他にも数多くの学校が、数多くの報酬案件を用意しています。
一部のブロガーたちは「学校の内容よりも金額」でどのスクールを記事にするかを決めます。記事はあたかも中立を保っているかに見せつつ、実際は報酬額の高い案件のみを扱っている。報酬のない学校をわざわざ自分の時間を使って宣伝などしないのです。
どうせ汗書いて長い記事を作成するならば、報酬の高い学校を扱ったほうが儲けも多い。
ブログを書く側は「報酬金額の多い学校」だけを選び、記事では絶妙にディスりつつ、時にバランス良く褒め、申込みへと誘導します。
ステマ記事の見分け方
ステマ記事、アフィリエイト記事はどのように見分ければ良いのでしょう。
「ITとかWEBとか詳しくないし、ステマ記事なんて見分けられない…」「フィーリングで見分けるの…?」など不安になるかもしれません。
でも、ご安心ください。
ステマ記事=さりげないアフィリエイト記事を見分けるのは特に難しくないんですよ。
ステマ記事を見分けるのに必要なこと。
それは、プログラミングスクールのおすすめしている「リンクのURL」を確認すること。これだけです。
アフィリエイトが仕掛けられたリンクというのは、URLが長く、一般的には目にしないヘンテコな文字列になるんですね。
ステマ記事のURLは長く、変則的な記号
例えば「example.com」というプログラミングスクールのサイトURLがあったとします。
その場合、通常だと、下記のようなリンクURLです。
通常のリンクURLの例
https://example.com/information
https://example.com/blog/programming
上記のようなURLですよね。文字自体も意味がわかり、長さも適当なもの。
しかし、これが「アフィリエイトリンク」になるとどうでしょう。例えば下記のようになります。
アフィリエイトのリンクURLの例
https://example.com/lp/pid=5cd463e471cc037&cid=60fvc7cbq10eba7c
ちょっとおかしいですね。右にスクロールすると、随分長いアドレスであるのがわかると思います。長いし、読めない。何やら記号めいたものになっていますね。
こういったヘンテコリンなURLが、アフィリエイトリンクが仕掛けられている箇所。
今後は、うっかりリンクを踏んでしまった際に「ちょっとURL見てみよ」というクセをつけておくと良いでしょう。これは、プログラミングスクールの場合のみならず、特定の商品をブログやYouTubeで強烈におすすめされて違和感を持った時にも有効。
アフィリエイト記事というのは「いかに自然にリンクを踏ませ、飛び先で申し込ませるか」に特化しているので、うっかりリンクを踏んでしまった際は気をつけましょう。
1回踏んだリンクは1ヶ月有効なことも
もしアフィリエイト記事のリンクを踏んでしまっても、すぐにブラウザを閉じたり、翌日に改めて自分で検索すれば、アフィリエイトは成立しないと思うかもしれません。
しかしそこもよく考えられていて、アフィリエイトというのは「その訪問者が1ヶ月以内に再訪すれば、売買成立」となる案件も多いんですね。
なので、ブロガーとしては「とにかくリンクを踏ませれば、1ヶ月は報酬を支払われるチャンスが獲得できる」わけです。
ステマ案件を提供するプログラミングスクール側もそれをよくわかっていて、自分の学校の記事を書いてもらいたいがために「1ヶ月有効」などの条件を加味しています。
ユーザーがサイトを訪れた記録を取るのは簡単ですから、企業側がデータを蓄積しておき、そのユーザーが翌日以降に説明会なり体験入学を申し込めば、ブロガーにお金を払うという仕組みになってるんですね。
目につく記事は「SEOが上手い記事」
ステマ記事やアフィリエイトの他に気をつけたいのが「SEO」です。
「ネット検索の上位表示対策」ですね。
検索の上位に上がってくる記事は「SEO」が施されています。
例えば「おすすめのプログラミングスクール5選」という記事があったとしますね。その記事が検索1位にあった場合、多くの人々はとりあえずクリックするでしょう。
しかしその記事は真実を語っているとは限らず、単に「SEOがうまいだけ」という可能性もあるんです。
本質であるプログラミングスクールの情報がステマでも、捏造した体験談でも、どこかの記事をパクっていても、四方八方手に手を尽くしSEOに磨きをかける。さらに、そのなかにアフィリエイトのリンクを織り交ぜる。
このような「SEO+ステマ+アフィリエイト」という三重の戦略が王道であり、ここを極めていると立派な記事が出来上がります。実際にその記事がユーザーにとって有益で公平であれば役に立ちますが、単にお金のためだけに書かれた記事である可能性もあるということです。
検索上位にある記事=信頼できる、ではないということ。その記事はもしかしたら「SEOがうまいだけ」という可能性もあるということですね。
最終的には自己責任である
アフィリエイトは法律上は犯罪でもなんでもなく、ステマだって一般的には逮捕されるわけではありません。
ということは、今後もお金のための記事や動画は増え続けます。
生き残りをかけたプログラミングスクールたちは、これからも「アフィリエイト案件という名目でのステマ記事の普及」を止めることはないでしょう。
ということは、企業は「案件」を高額で供給し続け、一部のブロガーたちはセンセーショナルな題名、巧みなSEO,情報商材的な内容でユーザーを翻弄し続けるでしょう。
こういったカオスの状況下にあって、読者は「自分の身は自分守る」という「自己責任」がそこにあることを知っておく必要があります。
絶賛されていたはずのプログラミングスクールや、所在がいまいち不明な「人気ランキング」などで上位の商品を買ってから後悔しても、誰も助けてはくれません。
もしいい加減なブログや動画にまんまとはめられて、高額なプログラミングスクールや商品にお金を払って後悔しても、それは自分の責任になってしまうんです。
そうなっては悲しいですから、ぜひとも今後は何かの商材を薦める記事や動画に遭遇した際は、一呼吸して冷静に見ることをおすすめします。
ブログであれば「アフィリエイトのリンク」のチェックをしてみたり、その作者の発する言葉が信用に値するかを見極める。
最近のステマ記事は「絶妙にケナし、絶妙にホメる」のが主流のため、見極めが難しいので、そもそも評価系の記事や動画盲信しないのが安全とも言えます。単なる情報のひとつとして受け止めるに留める。そこでの称賛やオススメは気にしないように頑張ってみる。
そして、プログラミングスクールの良い評判の記事のみならず「学校名+ステマ」「学校名+トラブル」「学校名+悪質」「学校名+返金」などのネガティブワードの組合せでも必ずチェックしてみる。
早く決めたいのに、悪い話を積極的に調べるのは気が乗らないかもしれませんし楽しくはないものですが、あとから後悔しないためにも、やっておくと良いでしょう。
さらに注意なのは、上記のような検索ワードでさえも「巧みなSEO+絶妙なステマ+さりげないアフィリエイト」で構成されている記事が無数にあるということです。プログラミングスクールの思惑やブロガーの戦略にひっかからないよう、用心しましょう。
ステマ記事に騙されないために
お手軽なネット検索という特長とは裏腹に、ステマだらけの現代。なかなか気が抜けないところですが、トラブルがあっても基本的には誰も助けてはくれません。
WEB上では衝動的に行動せずに、購入や申し込みの前には一息おいて、翌日以降に検討する。
知人や友人にも聞いてみたり、twitterでリアルな口コミと思しきものをチェックしたり。ステマ記事に騙されぬよう、自分の身は「もうひと手間かける」クセをつけ、自分で守っていきましょう。
自分にとって納得できる情報を、あせらずに、時間をかけて集めるクセをつけておきましょう。
WEB時代の処世術は「まず疑う」こと
今回書いてきた「ステマ」や「アフィリエイト」の見極めについては、情報過多の現代において知っておくべき処世術であると言えるでしょう。
インターネットに無数に転がっている記事や動画には全て作者がいて、何らかの意図で作成されているということ。
そのなかでも特に、ユーザーが見抜きにくい金銭のやりとりや、本当はステマであることをわかっている企業がさりげなく撒き散らしている記事には注意が必要です。
もはや「なんらかの宣伝記事には、そこにいくつもリンクが貼られているなら、それはステマでありアフィリエイトである」という認識を持っていてもいいくらいです。
大切なお金や時間を無駄に失うことがないよう、すぐに情報を信じず「まずは疑う」クセをつける。
疑うなんて、ちょっと疲れてしまうかもしれませんが「ステマかどうかを調べる」「衝動的に購入や申込みをしない」この2点を守るだけでも、今後の人生にもたらす影響は大きく変わってきます。
大きな代償を払う前のちょっとした習慣で、インターネットの使い方の精度を上げていきたいですね。