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基本情報技術者試験とは?試験内容や過去問・日程等を紹介。
ITスキルを可視化できれば就職・転職にも便利
例えば就職や転職時に履歴書を書く際、あるいは自分のプロフィールを誰かに話す時や、記載するとき。
「自分がしてきたプログラミングやITの学習価値やレベルを第三者がわかるように可視化できれば」便利ですよね。アピールもしやすいし、他者からも評価を得やすい。
そんな時に効果を発揮するのが「基本情報技術者試験」です。
「基本情報技術者試験」って何?
「基本情報技術者試験」は通称「FE(英語表記:Fundamental Information Technology Engineer Examination)」と呼ばれる国家試験。
「情報処理の促進に関する法律第29条第1項」に基づいて経済産業省が行う「情報処理技術者試験」という括りの中の一区分。
合格すれば「高度なIT人材になるためのITの基本知識・技能を有する」ことの証明となります。後述しますが、 情報処理技術者試験制度のスキルレベル「2」に相当。
国家試験をもってお墨付きを与えるIT系の国家資格であり、就職や転職の武器にもなります。
過去には9歳も合格。ただし難関。
「基本情報技術者試験」に受験・応募資格の制限はなく、誰でも受験することが可能。
2019年度の春期試験では、過去最年少記録としてなんと「9歳」の合格者が出たこともwikipediaに記載されるほど話題になりました。
しかし「基礎知識」と言っても、後述しますがその出題範囲と内容は専門的かつ広範囲。たやすく合格できる代物ではありません。
毎年の合格率は「約20%」といったところで、難易度は高めです。
「ITパスポート」とは何がちがう?
時折「基本情報技術者試験」と並列で語られるのが「ITパスポート」です。
「ITパスポート試験」と「基本情報技術者試験」は共に国家試験ではありますが、その特長は大いに異なります。
国が定める情報処理技術に関する知識・技能レベル「情報処理技術者試験制度」のレベルもちがいます。
①ITパスポート試験
「基本情報技術者試験」より敷居は低い、IT入門者向け。しかし合格率は50%前後のため決して安易な内容とも言い切れません。情報処理技術者試験制度のスキルレベル「1」に相当。
②基本情報技術者試験
プログラミングやシステムの開発・運用をする技術者向けの試験で、基本的な知識と技能、実践的な能力をテストします。IT理解度が中級のプログラマーやエンジニアの人に適した試験です。合格率は約20%。情報処理技術者試験制度のスキルレベル「2」に相当します。
なお、情報処理技術者試験制度のスキルレベル「3」は「応用情報技術者試験(AP:Applied Information Technology Engineer Examination)」。
レベル「4」は「高度情報処理技術者試験」と、専門性が上がっていきます。
「基本情報技術者試験」の目的
国がわざわざ国家試験にしてまで、ITの基礎能力を試験化した意図は何でしょう?
それは「日本国全体の高度なIT知識の向上」にあります。
現在ではアメリカのGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)そして中国ではBATH(Baidu・Alibaba・ Tencent・Huawei)、またインドにおいてもIT企業の世界的な躍進が目立ちます。しかし悲しいかな日本においては、それらの企業に匹敵する会社はありません。
実は「基本情報技術者試験」自体は、発足は1969年(昭和44年)と古いもの。第二種情報処理技術者認定試験として実施されたのが最初ですが、時代と共に存在感を増している国家試験となっています。
現代においてもなおIT教育に遅れを取る我が国おいて、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から始まったプログラミング教育の義務教育化と並んで重要に語られる試験でもあります。
経済産業省のサイト、そして情報処理推進機構のサイトには、以下の3点を目的として「情報処理技術者試験」を実施しているとあります。
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情報処理技術者に目標を示し、刺激を与えることによって、その技術の向上に資すること。
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情報処理技術者として備えるべき能力についての水準を示すことにより、学校教育、職業教育、企業内教育等における教育の水準の確保に資すること。
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情報技術を利用する企業、官庁などが情報処理技術者の採用を行う際に役立つよう客観的な評価の尺度を提供し、これを通じて情報処理技術者の社会的地位の確立を図ること。
高度なIT知識・スキルの底上げのための試験であるため、決して優しい試験ではありません。
「基本情報技術者試験」の試験内容
では「基本情報技術者試験」の試験範囲を見ていきましょう。
基本情報技術者試験の出題範囲を明確化したシラバスとして、情報処理技術者試験における知識・技能の細目が策定・公開されています。
出題範囲が公開されていることで、試験者の学習指針のみならず、企業研修等における教育内容の参考にもなっています。内容は時代の技術動向などを踏まえ、適宜見直しが行われています。
試験範囲は、
「テクノロジ系」
「マネジメント系」
「ストラテジ系」以上で出題項目が分かれています。しかし適宜改変されているため、各カテゴリ内の内容は時代によって変わっていきます。例えば近年ではCOBOLに関する内容がPythonに差し替えになど、です。
試験は午前・午後に分けて行われます。以下は午前・午後に分けた出談範囲です。
以下に2021年6月現在の内容を記載します。
テクノロジ系(午前試験)
項目 出題内容 基礎理論
・離散数学
・応用数学
・情報に関する理論
・通信に関する理論
・計測/制御に関する理論アルゴリズムとプログラミング
・データ構造
・アルゴリズム
・プログラミング
・プログラム言語
・その他の言語コンピュータ構成要素
・プロセッサ
・メモリ
・バス
・入出力デバイス
・入出力装置システム構成要素
・システムの構成
・システムの評価指標ソフトウェア
・オペレーティングシステム
・ミドルウェア
・ファイルシステム
・開発ツール
・オープンソースソフトウェアハードウェア
・ハードウェア ヒューマンインタフェース
・ヒューマンインタフェース技術
・インタフェース設計マルチメディア
・マルチメディア技術
・マルチメディア応用データベース
・データベース方式
・データベース設計
・データ操作
・トランザクション処理
・データベース応用ネットワーク
・ネットワーク方式
・データ通信と制御
・通信プロトコル
・ネットワーク管理
・ネットワーク応用セキュリティ
・情報セキュリティ
・情報セキュリティ管理
・セキュリティ評価技術
・情報セキュリティ対策
・セキュリティ実装技術システム開発技術
・システム要件定義
・システム方式設計
・ソフトウェア要件定義
・ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計
・ソフトウェアコード作成およびテスト
・ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト
・システム結合・システム適格性確認テスト
・ソフトウェア導入
・ソフトウェア受入れ
・ソフトウェア保守ソフトウェア開発管理技術
・開発プロセス・手法
・知的財産適用管理
・開発環境管理
・構成管理・変更管理
マネジメント系(午前試験)項目 出題内容 プロジェクトマネジメント
・プロジェクト統合マネジメント
・プロジェクト・スコープ・マネジメント
・プロジェクト・タイム・マネジメント
・プロジェクト・コスト・マネジメント
・プロジェクト品質マネジメント
・プロジェクト人的資源マネジメント
・プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
・プロジェクト・リスク・マネジメント
・プロジェクト調達マネジメントサービスマネジメント
・サービスマネジメント
・運用設計/ツール
・サービスサポート
・サービスデリバリ
・サービスマネジメント構築
・ファシリティマネジメントシステム監査
・システム監査
・内部統制ストラテジ系(午前試験)
項目 出題内容 システム戦略
・情報システム戦略
・業務プロセス
・ソリューションビジネス
・システム活用促進・評価システム企画
・システム化計画
・要件定義
・調達計画/実施経営戦略マネジメント
・経営戦略手法
・マーケティング
・ビジネス戦略と目標・評価
・経営管理システム技術戦略マネジメント
・技術開発戦略の立案
・技術開発計画ビジネスインダストリ
・ビジネスシステム
・エンジニアリングシステム
・e-ビジネス
・民生機器
・産業機器企業活動
・経営/組織論
・OR/IE
・会計・財務法務
・知的財産権
・セキュリティ関連法規
・労働関連/取引関連法規
・その他の法律/ガイドライン/技術者倫理
・標準化関連大問形式(午後試験)
※大問形式はマークシート形式ではあるが一つの設問に複数の質問が入った問題のこと。
項目 出題内容 コンピュータシステムに関すること
・ソフトウェア/ハードウェア
・データベース
・コンピュータネットワーク情報セキュリティに関すること
・情報セキュリティ データ構造およびアルゴリズムに関すること
・データ構造
・アルゴリズムソフトウェア設計に関すること
・プログラミング (Java/Python/C言語/アセンブラ言語/表計算ソフト)
マネジメントに関すること
・プロジェクトマネジメント
・ITサービスマネジメントストラテジに関すること
・システム戦略
・経営戦略/企業と法務「基本情報技術者試験」の試験時間・合格基準は?
「基本情報技術者試験」の試験時間は「午前:150分」「午後:150分」の合計5時間。
午前は小問形式(一問一答)のマークシートで「80問」出題されます。60点以上で合格。
午後もマークシート形式ですが、一問一答でなく大問形式(一つの設問に複数の質問)となります。
「基本情報技術者試験」の過去問って見れるの?
過去の試験問題に関しては、専門サイトにて開示されています。
下記のサイトを参考にしてみてください。
これらの問題と回答を見てわかる通り、マークシート形式ながらもシンプルな設問というわけでなく、非常に専門的で回答を選ぶのに苦労します。合格者が20%前後というのもうなずけます。
試験の日程は?
※新型コロナウイルスの影響で、今後の開催についてはイレギュラーを想定する必要があります。
これまでの開催日程をまとめると以下です。
①開催:年に2回
②日程:4月の第3日曜日/10月の第3日曜日
③申込期間:春期:1月中旬/秋期:7月中旬
④合格発表:試験から約1ヶ月後にIPA(情報処理推進機構)のWEBサイトにて。合格の証書も送付される。不合格者に通知はナシ。
「基本情報技術者試験」は、就活に際に役立てたいという学生も多いことから、大学や高校、専門学校等でカリキュラムに組み込まれていることがあります。そのため、受験生の平均年齢も比較的若めで、25歳前後。
内容的にもプログラマーやエンジニアのみならず、WEBデザイナーやマネジメント層にも必要とされる知識のため、合格を目標に勉強すること自体にも価値のある試験となっています。
歴史で見る「基本情報技術者試験」
「基本情報技術者試験」の歴史を見てみましょう。その歩みは1969年に始まった軌跡を持つ試験となっています。
年 概要 1969年 第二種情報処理技術者認定試験として実施される。 1970年 第二種情報処理技術者試験として実施される。 2000年 基本情報技術者試験と改称。出題範囲・形式も変更される。 2020年 COBOL出題が廃止されPythonに。 2020年9月 コロナウイルスの影響で試験が延期される。 2021年5月〜6月 試験を実施。 時代と共にその内容を最適化してきた「基本情報技術者試験」。
こういった試験でもないとアルゴリズムの基本的な概念やセキュリティ、コンピュータの構成要素などについて体系的に学ぶこともなかなかないものです。そしてそれらはプログラミングを仕事にするうえでとても有益な知識となります。
逆に言うとITナレッジの各所が抜け落ちているエンジニアは、基礎の土台が出来ている人とは根本的なところで差が出ています。一見、誤差にも見えますがこれは意外と大きな差。
一見地味でハードルも高い試験ではありますが「基本情報技術者試験」は、今後も日本のIT技術者や企業にとっては価値のある指標であり続けることでしょう。
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